つくるを楽しむ木のかたち
戦後間もない時代に、塩田の広がる三河湾の浜辺で生まれ育った私は姉と弟の3人でした。小学生のとき運悪く弟を呆気なく亡くしたことでなぜか独り遊びをすることが多くなりました。決して一人が好きな訳でもなかったのに友達と一緒になって遊び狂うことができず、私の偏屈な心はいつも小さく泣き虫でした。
そんな私はどこかすねながら別の世界を勝手に創り上げてはその中で元気な自分を見つけて遊んでいたような気がします。絵本や童話が大好きで絵を描いたりお話をつくったりして一人楽しんでもいました。
また当時の皆んなが愛用していた肥後の守ナイフの大小を事の他愛用していた私は木片や枝、竹を細工して遊び道具を作っては友達に提供していました。そんな感覚は大人になっても抜け切れず、モノ作りの仕事に就いてからもそこ此処で顔を出すことになってしまっています。
木の仕事は最初木地師の仕事を教わりましたが欲張りな私は家具から木彫、版画、絵など楽しみながら動き続けています。それも幼い頃の感覚と感触を思い起こしながらの楽しみ方で、まるで幼い頃に描いた絵日記をこの歳になって改めて1人ニンマリやっている気がします。
こんな繰り返しが私のモノ作りの原点であり「つくるを楽しむ木のかたち」のようです。会場では家具から木彫、絵などを楽しんで観て頂ければと思っています。
井崎正治
6月9日(土) 13:00-17:00 展示会場にて 木工希望者への相談会を開催いたします。