木工家ウイークに参加するたびに周りの作り手の熱気に圧倒されます。僕の創るモノはデザイン、木工技術、木の質、どれをとってもピカイチとは言えないモノです。
そんなことを言うと「手を抜いているモノを売っているのか?」と、責められそうですが僕なりに一生懸命やっています。
僕が最近一番大事にしている勝ちすぎないモノづくりです。
量産品にある意味勝てないと使い手に購入しては頂けません。工芸品と名の付く物は、飛び抜けて優れた作り手が、厳選された素材で創られた断トツの物です。日常以上の物だと思います。僕自身も作り手の端くれで工芸品レベルの仕事を目指した時期も有ります。でも、僕には気位が高すぎました。そしてものづくりに疲れてしまいました。
もともとちょっと可愛い位の物が好きで、物を購入する時の基準はまずは使いさと丈夫さでした。僕に似合っている木工は日常生活で疲れないモノを創ろうと思いました。
僕なりにいろいろな木、いろいろな人、いろいろな自分、いろいろな時代、と真剣に向き合って今の仕事のスタイルになりました。いい意味、そこそこの空間づくりです。
周りの物や人や時代に勝ちすぎないモノづくりを目指しています。
たくさんの木工家の熱気に疲れた時は、骨休めにお寄り下さい!
工房てつ 中村哲朗